¡Eso es!

これを書いているのは日本が2002年ワールドカップ予選リーグでロシアに勝った翌日ですが、職場に行くとセネガル人のスタッフが口々に「おめでとう!」と言ってきます。ちなみにおめでとうはフランス語で felicitations ! と言います。スペイン語のおめでとう、 felicidades ! 同様複数形を使うんですね。

しかしサッカーに興味がない同僚の島調は、日本戦の時間にゴルフに行っていたそうで、今日も職場に来るなり「聞いてくださいよ!私のスコア、105になったんです!」みんながサッカーの話題で盛り上がっているのに、いきなり自分のゴルフのスコアの話題を持ち出すところがなんともすごいというか…。

それはともかく、ここセネガルでは日本と9時間時差があるので、サッカーの放送は朝6時半から始まり、その日の試合が終わるのがお昼過ぎです。この間はみんなそわそわして、あまり仕事になりません。もちろん会議も午前中は避けているようで、今日も午後に会議が一つ入りました。

議長は例によってサムラ氏です。フランス語で議論していてよく聞く言葉の一つに C’est ça ! (セ・サ)というものがあります。これはスペイン語だと、¡ Eso es ! 相手の言った言葉に同意をしたり、賛意を示すときに使う相槌のようなものです。

そしてよく似た表現で,以前から気になっていたものに「トゥタフェ」というものがありました。どうも軽い相槌は「セ・サ」で、特に賛意を示すときには「トゥタフェ」と言っているようです。

まあそれはわかっていたのですが、問題はこのスペル。多分こうだろう、と考えていたのは

Tout a fait

でした。

「あってるじゃないか」と思われた方もおいででしょうが、筆者が想像していたのはアクサンのない a つまり、avoir の三人称単数形の a でした。そして fait は faire (する・作る)という動詞の過去分詞形。要するに、これを C’est ça みたいな一つの完結した文なのかと思っていたのでした。フランス語は avoir 動詞と過去分詞形を組み合わせて一種の過去形を作ります。

それを今日、サッカーの話はだめでもフランス語はうまい島調に確認してみました。そうしたらいきなり笑われてしまいました。なんと a は上にアクサンが付く前置詞の à で、fait は名詞の fait 、つまり「事実」とか、そういうような意味の単語だったのです。

筆者はてっきり「全部がやった」というような意味の文が、ニュアンスとして「そのとおり!」みたいなことを意味しているのかと思っていましたが、そうではなく、 tout à fait で「まったく」を意味する副詞句なのでした。

さて tout に該当する todo を使ったスペイン語の表現は…と考えてみましたが思いつきません。それもそのはず、この場合の tout は副詞なのですが、スペイン語の todo には副詞としての用法はないようなのです。

仏西辞典で tout à fait をひいてみると、completamente と出ていました。