Yの悲劇

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フランス語では英語の there is, there are に当たる表現は

Il y a

というものを使います。il は三人称単数の代名詞、 a は avoir というスペイン語の haber にあたる動詞の三人称単数形、直訳すれば「それは~を有している」というようなニュアンスでしょうか。では間にある y は何なのか?スペイン語で and を表す y はフランス語では et ですから別物です。

フランス語にはこの他にも、Allez-y (やりなさい)とか、かなり慣用的な表現の中に y が出てきます。辞書を引くと「そこに」「それを」「そのことを」などという意味があるそうです。また「私は駅に着いた」「そこに彼女が待っていた」などというときの、「そこに」を表現するにも y が使われるようです。

さて最初の Il y a に戻ってこれに該当するスペイン語の表現は

hay

一言です。主語はありませんが、haber の三人称単数形の変形だと言われています。そして、そうここにも y が…。haver が avoir に対応し、またスペイン語では主語がよく省略されることを考えると、y も含めてほとんど同じ表現であることがわかります。事実ものの本(「フランス語からスペイン語へ」)によれば、スペイン語の hay に含まれる y は、フランス語の y と語源が同じであるそうです。

さてそうなると、スペイン語では hay だけを残して、他のケースで使う y はどこへ消えてしまったのでしょうか?ひょっとすると hoy (今日)の y もそうなのかな?