いるかい?

筆者の部屋には筆者を含めて4人が座っています。3人いる日本人の中で一番フランス語が得意、かつフランスきちがい?の同僚、島調は秘書のマゲットの隣に座っています。職場の他のスタッフがオフィスにいるかどうかをマゲットに尋ねるとき、「○○さんはいますか?」という意味で島調は

Il est là? (男性の場合)

と言っています。est は être の三人称単数で「いる」で問題ないと思いますが、この後 là が今回のポイントです。

là を辞書を調べると英語の there つまりスペイン語の allí, allá にあたる「そっち」「あっち」が第一義のようなのですが、どうもニュアンス的には ici という「ここ」つまり aqui と同じようにも使われているようで、混乱してしまいます。

また時間的な「その時」という意味もあり、きっとニュアンスとして身につけるしかない単語なんでしょうね。そうしたものがフランス語にはかなりあるように思えます。

それはともかく、スペイン語だとこの場合、

¿(El) está allí?

とでもなるわけですが、実際には日本語で「○○さんいる?」という感じで、「どこ」という意味をあえて言わなくても là が慣用的に入るようです。だから ¿Sr. Ito está? というのも M. Ito, il est là? となります。

フランス語だと発音は「イ・レ・ラ?」と3音節だけになってしまいますし、語呂もよくてこれは簡単。女性の場合を聞くなら

Elle est là?

で「エ・レ・ラ?」です。複数は etre の3人称複数形を使って

Ils sont là?
Elles sont là?

になるはずです。

ちょっと注意が必要なのは、例えば「ムッシュ・オリタはいますか?」と聞くならスペイン語では

¿Sr. Horita está alli?

ですが、フランス語だと

M. Horita, il est là? (M. はムッシュの省略形)

と表現する点です。どこが違うでしょうか?

スペイン語だと Sr. Horita が既に está の主語になっていて el を重ねませんが、フランス語だと、名前を言ったあとに代名詞を重ねるのが一般的なようなのです。どうしてでしょうか?