持続的開発

10月に休暇をとろうと思って職場に休暇の申請を出しているのですが、なかなか手続きが進みません。その理由はと言うと、皆さんもご存知かと思いますが、先日まで南アフリカのヨハネスブルグで開催されていた環境・開発会議です。日本の首相は参加して、環境問題に不熱心なブッシュさんはパスした、あの会議です。

この超大型の国際会議が筆者の休暇にどのような影響を及ぼすのか?!まあ直接の影響は無いのですが、筆者の勤務する機関の上層部が会議に出席のために不在にしていたため、書類の処理が遅れているのです。途上国ではトップにしか決済の権限がなかったり、ということが多く非常に非効率な面があります。日本なら休暇の認定は人事部がやって社長がするわけではないと思うのですが、ここはサインの国。秘書がトップのはんこを管理している、ということはありません。

さてこのヨハネスの会議での議題が「持続的開発」というやつです。実は筆者の仕事もこれに大きく関わっているのですが、仕事の中身に関するメールマガジンではないので、今回は言葉としてこの「持続的開発」を取り上げようと思います。今までは普段使う言葉の表現を取り上げていましたが今回はムズカシめの専門的単語ですから、ちょっと違う趣向になります。

「持続的開発」は英語で言うと sustainable development です。これはスペイン語だと確か desarrollo sostenible です。development がスペイン語だと desarrollo と、ちょっと異なる単語になりますが、「持続的な」というほうは同語源の良く似た単語が使われています。

さて、ではフランス語では…同語源の言葉を組み合わせて développement soutenable になるかと思いきや、そうはならなくて développement durable と言います。

développement は英語の development にそっくり、というか、多分フランス語の単語の方が先にあったのでしょうけれど、なぜ durable になるのか、sustainable に対応する soutenable がなぜ使われないのか、とても不思議でした。durable は英語では「壊れにくい」というようなニュアンスですし。

そこで辞書を引いてみると、フランス語の soutenable には、「(意見などが)支持できる」という意味しかありませんでした。「持続する」という意味はないようなのです。一方英語やスペイン語にも「意見を支持する」という使い方はありますが、辞書でも第一義とはなっていません。

durable は英語でもフランス語でもスペイン語でも、「壊れにくい」「永続的な」という意味で、sustainable のニュアンスとはちょっと違うと思います。durable は人のかかわりに関係なく「壊れにくい」ですが、sustainable は「人が持続させる」という意味合いがありますから。

フランス語に「持続的な」という意味での sustainable に該当する単語が無いため、durable が使われているのではなかろうか、と推測しています。

おまけ

最近「千と千尋の神隠し」のDVDを手に入れました。なんとこのDVD、英語はないのにフランス語の吹き替えが入っています。そこで「これはフランス語の教材にいいかも!」と思い、「他のDVDはどうだろう?」と Amazon.co.jp で調べてみたら…吹き替え言語が明記されているものとされていないものがあって、よくわかりませんでした(ーー;)。