どこで売ってる

1週間の休暇を終えてニューヨークからセネガルに戻ってきました。妻や息子ともまたまたしばらくのお別れです。何ヶ月も会ってないのにまだ10ヶ月にならない息子は筆者のことを覚えていました。凄いですねえ、子どもの能力というのは。これからどんどん言葉を覚え始めることでしょう。そうなったら子どもの学ぶスピードに筆者がかなうすべはありません。

さてニューヨークで買おうと思って探したけど見つからなかったものがあります。それは「肉挽き機」です。ぐりぐり手で回すと挽肉ができる装置です。大手のデパートなども行ったのですが置いてありません。日本ならば東急ハンズへ行けばまず間違いなくあるのでしょうけど。

なぜ肉挽きが欲しいのかというと、セネガルでは挽肉が一般的でなく、種類も限られていることに加え、息子が遊びに来たときでも、まだ奥歯のない息子でも食べられるものを準備するのに便利だと思ったからです。セネガルは肉以外にも海産物、イカとかタコとかもたくさん取れますから、そうしたものも挽けばおいしく食べられるだろう、という作戦です。

「肉挽きはどこで売ってるのかなあ」で思いついたのが、「どこで売っている?」という表現です。スペイン語では一般的に

¿Dónde se vende?

のように「どこで売っているか」と表現するのが一般的のようです。

一方フランス語でなんと言うかフランス語がうまい同僚の島調に確かめたところ

Où on peut acheter?

が普通だとのことでした。こちらは「どこで買えるか?」という表現になっているわけですね。

もちろんスペイン語でも

¿Dónde se puede comprar?

とか

¿Dónde podemos conseguir?

とか、「どこで買うか」という表現もできますが、筆者はあまり耳にしたことがありません。

今回の表現の中で注意するのは、「売る」「買う」という表現よりも、スペイン語の中の se とフランス語の中の on でしょうか。

これらは共に活用は3人称をとりますが、意味的には無人称で使われ、共通点もあります。スペイン語で「どう言いますか?」は

¿Cómo se dice?

すが、フランス語では

Comment dit-on?

と非常に良く似た表現をとります。dit は「言う」という動詞 dire の3人称単数形ですが、この単語もスペイン語の decir に似ていますね。

ただ se と on の違いとしては、どうやらこの場合の on には「わたしたち」というニュアンスが含まれていることです。辞書にはまったく無人称で主語を特定しない単なる「人は」というような表現での on もあるのですが、実際に使われている表現を聞いていると、on はかなり主語を明確にしているような印象を受けます。

一方スペイン語の se は純粋に無人称で「わたしたち」を示すのに使われることはありません。また se は意味としては「売られている」「言われている」というような受動態的なニュアンスを示すことが多いですから、そのまま入れ替えて使えることが多いと言えども、on とは随分異なっているように思います。