挽肉

さて前回に続いて挽肉からのお題です。

挽肉機(日本語ならミンサーかな)がどこで売っているのかを秘書のマゲットさんに聞いてみました。彼女は副業で商売などもしているそうですし、きっと知っているだろうと思ったからです。

スペイン語では肉を挽くのは moler あるいは picar という単語を使います。一般的には carne molida で挽肉という意味になりますし、料理の名前の中では picada という表現を見かけることも良くあります。

そこで「挽く」というフランス語なら、と思いついたのが moudre という単語。挽き機ならば moulin になるのかなあ、と思いましたが、moulin というと、パリのかのムーラン・ルージュにも使われている単語で、風車小屋とか、製粉所・製粉機といった意味があります。これではちょっと大きすぎると思ったので

la machine pour moudre de la viande

と言ってみました。

そうしたらマゲットさんには最初にきょとんとされ、そして「肉は moudre じゃなくて hacher よ。」と訂正されてしまいました。横で聞いていた島調からはさらに「hacher の頭には H が付きますからね。」と駄目押しをされてしまいました。

hacher はスペイン語の hacha (斧)に似ているのでもわかるかと思いますが、刻む、というニュアンスの単語です。フランス語では挽肉は刻み肉だったんですねえ。昔は斧のような刃物で細かく刻んだ名残でしょうか。スペイン語の picar もどちらかというと刻むというニュアンスですね。

またフランス語の斧は hache で、挽肉のことは viande hachée あるいは一語だと hachis という表現もあります。viande hachée は女性名詞なのに、hachis は男性名詞なのがトリッキーですね。

さてでは肉挽き機はなんと言うのか。フランス語では hachoir のようです。斧から挽肉ができて、今度は挽肉を作る機械に別の名前が付いているのが面白いですね。

ではスペイン語では?一番簡単には

maquina de moler

で、スペイン語にはありがちな説明的な表現ですね。あるいは moledora とか picadora という言い方もあるようです。

ところがさらにマゲットさんに肉挽き機のことをなんと言うか聞いてみると「ムリネックスよ」という返事。moulinette なら野菜をおろす機械という意味で辞書にもありますが、ムリネックスはありません。さてこれは商標なのでしょうか。

で結局肉挽き機はどうしたかって?ダカールのマーケットを探して中国製を見つけました。いやにごつい代物ですが。